うつ病と聞くと、多くの人は「無気力になり、何もする気がなくなってしまう病気」と考えます。それは確かに間違っていませんが、この病状は、うつ病による症状のほんの一部です。うつ病というのは実に様々な症状を発症する病気であり、肉体的にも精神的にも深刻なダメージを及ぼす病気です。その大元は、脳です。うつ病は脳の疾患であり、脳から分泌される神経伝達物質の量が減少することにより、体の機能に様々な悪影響を与えているのです。不眠症や無気力状態はその症状のほんの一部に過ぎません。では、うつ病になるとどんな症状が発症するのか、ここでは肉体面と精神面の両方を見ていきましょう。
まず、肉体的な面におきる症状ですが、これは不眠症が第一に挙げられます。睡眠を司るホルモンであるメラトニンに関わりのある脳内神経伝達物質のセロトニンはうつによって分泌量が大幅に減ります。その結果、睡眠障害が発生し、寝付けなくなったり、眠れたとしても直ぐに目が覚めたりなど快眠できなくなってしまいます。その結果、強いストレスを感じてしまい、体に疲労が残ってしまうのです。次に、味覚障害です。うつを発症すると、唾液の分泌量が著しく減り、味覚に変化が現れます。なお、治療の際に服用する抗うつ剤も同様に味覚に変化をもたらすといわれています。そして、筋肉痛です。うつ病と筋肉痛の2つは、一見無関係そうに見えますが、実は大いに関係あります。うつ病になると、ストレスにより常に全身が緊張状態となり、筋肉に負荷がかかってしまいます。その結果、筋肉痛になってしまいます。
次に、精神的な面におきる症状の説明です。まず一番有名なのが、無気力症状です。なぜ無気力になるのか。それは神経伝達物質の一つであるノルアドレナリンの分泌量が減るからです。ノルアドレナリンは物事に対する意欲や興味を司る物質であり、それらが大幅に減少することで無気力になってしまうのです。次に、感情障害です。前述したセロトニンは感情のブレーキ作用も司っています。セロトニンがあるからこそ怒りを我慢できますし、悲しみから立ち直ることもできます。しかし、セロトニンが不足することで些細な事で怒りやすくなってしまいますし、いつまでたっても悲しみから立ち直ることができなくなってしまいます。そして、無感動になるのもうつ病の一種です。こちらはドーパミンという脳内神経伝達物質が不足することによる楽しいという感情の現象が原因であり、大好きだった趣味に対しても楽しみが見いだせなくなってしまいます。このように、うつ病は肉体・精神ともに悪影響を及ぼす病気であり、適切な治療が必要になるのです。